マンションの光インターネット接続には3つの方式があります。
- 電話線(メタル線)を利用した「VDSL方式」
- LAN配線を利用した「LAN方式」
- すべて光ファイバーケーブルの「ひかり配線方式」
<通信速度>
「ひかり配線方式」>「LAN方式」>「VDSL方式」>(ADSL)
ひかり配線方式
LAN方式
VDSL方式
この記事では、マンションの光インターネット接続方式を解説していきます。
VDSL方式 とは
光インターネットの普及以前に建てられた古いマンションはVDSL方式が多いです。
VDSL方式は、光ケーブルを1階の共用部までしか引き込みません。共用部から各住戸までは、既存の電話線をそのまま利用します。
光ケーブルから送られてきたデジタルデータは、共用部設置の「VDSL盤」で一旦アナログデータに変換(通信速度が劣化)されます。このアナログデータは既存の電話線で送られ、住居内に設置の「VDSLモデム」で再びデジタルに変換されます。
回線事業者からレンタルする「VDSLモデム」は、室内の電話モジュラージャックに接続して使用します。
インターネット回線がADSLから光ファイバーに転換し始めた頃、既存のマンションは共用部にVDSL盤を設置することで、光インターネットに対応できました。需要増大とともに、多くのマンションでVDSL方式が採用されました。
マンションの光インターネットは、VDSL方式が当たり前の時代でした。
VDSL方式については別記事でも解説しています。
参考記事:VDSL方式の光インターネットとは?
近年では、このVDSL方式からひかり配線方式に切り替えるマンションも増えています。一般家庭でも、高速かつ大容量通信を必要とする現代では、VDSL方式では物足りないのは否めません。
LAN方式 とは
LAN方式はマンション内の配線がすべてLANケーブル。外部から引き込まれた光ケーブルは共用部のルーターに接続されます。
各住居はグローバルIPアドレスが割り当てられず、プライベートIPアドレスになります。グローバルアドレスを利用するサービス(ネットワークゲームなど)は利用できません。
LAN方式を採用する賃貸マンションは、貸主が1棟分のインターネット契約をします。そのため、入居者は引っ越し後直ぐにインターネットを無料で利用できます。
インターネット接続をマンション内で共用するLAN方式は、利用者が多い夜間など、速度が劣る傾向があります。
各住居はモデム等の装置を必要としません。室内の壁にLANケーブル差込口があるだけです。差込口が1つしかない、複数台のPCで使いたい、wifiで使いたい場合は各自でルーターを用意する必要があります。
下に電話差込口
無線wifiと有線LANケーブルが利用可
※wifiルーターが壁内に埋め込まれた「コンセント一体型」タイプ。
ひかり配線方式 とは
室内まですべてが光ケーブルのひかり配線方式。通信速度が最速。
ひかり配線が主流の現在では、築浅のマンションはひかり配線方式に対応しています。
室内への光ケーブル引き込み&光コンセント設置工事の手配は、インタネット契約者。前入居者が契約していた場合は、原則、そのまま残置してます。
ひかり配線方式が採用されていないマンションでも、戸建て住居と同様に単独で契約することができるケースもあります。
ただし、マンションの構造上の理由や高さ(階数)制限で出来ないこともあります。
ひかり配線方式が普及する以前に建てられたマンションで光配線をする場合。
既設の電話線用配管を利用し、光ケーブルを室内まで配線します。
光コンセントは既設のプレート横に増設されたり、一体型コンセントプレートに取り替えられたり、形状は様々です。
室内に光コンセントがあれば、光回線工事費が安くなります。
無派遣工事となり費用は2,000円+税(NTT限定)。
室内に光コンセントがない、建物内に光ケーブルがない場合は派遣工事になります。
光回線工事費(マンション)は15,000円+税(NTT限定)。
フレッツ光以外、「auひかり」などは開通工事費は必須。工事費もNTTと異なります。「光コラボ」は事業者によって工事費が異なる場合があります。
全戸一括型 ひかり配線方式
新築またはリニュアル工事時に「ひかり配線方式」を採用し、ネット代無料の賃貸は光ケーブルは全住戸に配線済です。
各住戸はONU(光回線終端装置)も設置済み。
※入居後に設置する業者もある
例えば、名古屋ではスターキャット社がオーナー様向けにも全戸下り最大1Gbps+wifi付光サービスを提供しています。
全戸数分の使用料金はオーナー様が負担。
1棟契約をすることで各戸の料金を抑えられますが、空室分の使用料も支払います。入居者は、光インターネットが毎月無料で使えます。
実質、料金分を共益費等の増額で賄っているケースが多いようです。
それでも、入居者にとってはメリットが多く、入居者募集に有利になるため導入するオーナー様が増えています。
光ーデジタルの信号変換行う装置。wifi、固定電話の接続も可能な装置は「ホームゲートウェイ」と呼ばれます。
ネット使用料が賃料に込みのお部屋は、写真のように先に設置されています。
※入居時に業者が設置し、セットアップ料が発生する場合もあります
まとめ
光インターネットが登場したころ、賃貸マンションはVDSL方式が当り前でした。
高級賃貸と呼ばれる物件にはLAN方式が採用され、ひかり配線方式を賃貸マンションで見ることはありませんでした。
時代は変わり、新築賃貸マンションのインターネットはひかり配線方式が標準です。
メタル(電話)線を利用したVDSL方式は”時代遅れ”となりましたが、物理的にも予算的にも、ひかり配線方式に切り替えられない古い賃貸マンションが多いのが現状です。
モバイル回線が今よりも、大量&高速化が実現すれば、固定回線すら”時代遅れ”になるのかもしれません。