昨今、インターネット接続サービスを選ぶ上で、重要なワードとなるのが通信規格(プロトコール)の「IPv6」。
現在、通信規格はIPv4から利便性の高いIPv6へ移行中です。
KDDIが提供する「auひかり」はIPv4とIPv6、どちらでも対応できるデュアルスタック方式を採用。申込手続き、追加料金なしでIPv6に対応。
シェアの大半を占めるNTTの「フレッツ光」は、IPv4とIPv6をトンネリング方式で共存。IPv6の対応はプロバイダ(接続事業者)に依存します。
従来のフレッツ光インターネットサービスは、回線(NTT)とプロバイダーが別契約でしたが、現在は契約が一つになった「光コラボレーションモデル」が主流です。
この記事では、フレッツ光回線と接続サービスを合わせて提供する光コラボレーション(光コラボ)のIPv6接続サービスについて書いていきます。
IPv6とは
IPv6(Internet Protocol version 6)とは、現在主に使用されているIPアドレスの規格であるIPv4の後継規格です。
IPv4アドレスの約43億個に対し、IPv6アドレスは約340澗(1澗=1兆×1兆×1兆)個のIPアドレスが利用できます。
2011年4月15日、アジア太平洋地域にIPアドレスを分配しているAPNIC及び我が国のIPアドレスを管理するJPNICにおいてIPv4アドレスの在庫が枯渇しました。これを受け、我が国の通信事業者等においては、既に分配を受けたIPv4アドレスを有効に活用しつつ、IPv6を早期に導入することが重要となっています。
IPoE方式とPPPoE方式
インターネットの接続方式はIPoE方式とPPPoE方式の2通り。次世代のIPoE方式は、従来のPPPoE方式よりも、データ容量と通信速度が上がります。
IPoE
IPoE(Internet Protocol over Ethernet)方式とは、直接インターネットに接続する方式。そのため「ネイティブ方式」とも呼ばれます。
PPPoE
PPPoE(Point-to-Point Protocol over Ethernet)方式とは、ISP(Internet Services Provider)経由でインターネットに接続する方式。
接続にはプロバイダ発行のIDとパスワードが必要。
IPoE方式のIPv6接続
IPoE方式はIPv6専用の接続方式です。
これまで主流のインターネット接続はPPPoE方式の接続です。この接続方式は、ISP(プロバイダー)ごとに用意されたネットワーク終端装置(NTE)を利用します。
通信が混雑する時間帯夜間など、このネットワーク終端装置にトラフィックが増加するとボトルネックになり、通信速度が遅くなります。
そこで、ネットワーク終端装置を利用しないIPoE方式にすれば、速度遅延を起こすボトルネックを解消できます。
IPv6 IPoE /IPv4 over IPv6
IPv6専用のIPoE方式でインタネット接続をすると、IPv4にアクセスできなくなります。
現在はIPv4からIPv6へ移行途中のため、IPv6に対応していないサイトやサービスが圧倒的多数です。
そのためインターネット接続をIPoE方式にするだけでは、ほとんどのサイトが閲覧できなくなります。
そこで、登場した技術が「IPv4 over IPv6」。
現在、各事業者が提供しているIPv6接続は、IPv4 over IPv6通信もできるサービスです。
IPv4 over IPv6は、IPv6専用のIPoE方式にトンネリング技術(カプセル化)を用いてIPv4通信する技術です。
IPoE/IPv4 over IPv6が利用できれば、IPv4向けのサイトまたはサービスもIPv6でアクセスできます。
VNE事業者
IPv6 IPoEの接続サービスはVNE(Virtual Network Enabler)と呼ばれる事業者からプロバイダに提供されています。
サービス名 | VNE | 方式 |
---|---|---|
v6プラス | 日本ネットワークイネイブラー | MAP-E |
IPv6オプション | BIGLOBE | |
OCNバーチャルコネクト | NTTコミュニケーションズ | |
Transix | インターネットマルチフィード | DS-Lite |
Xpass | アルテリア・ネットワークス | |
IPv6高速ハイブリッド | BBIX・ソフトバンク | 4rd/SAM |
IPoE方式のトンネリング技術とは、IPv4をIPv6にカプセル化する技術です。カプセル化にはいくつかの方式があります。
代表的な方式が「MAP-E」と「DS-Lite」。
IPv4 over IPv6はホームゲートウェイから、またはカプセル化の方式に対応するWiFiルーターから接続できます。
光コラボの月額料金
光コラボは「IPv4 over IPv6」サービスを無料で提供しています。
マンションタイプ
光コラボ | 月額料金 | 契約期間 | 解約金 |
---|---|---|---|
ドコモ光 | 4,000円 4,200円 | 2年 | 8,000円 |
【SoftBank 光】 | 3,800円+α | 2年 | 9,500円 |
OCN光 | 3,600円 | 2年 | 11,000円 |
楽天ひかり | 3,800円 | 3年 | 9,500円 |
ぷらら光 | 3,600円 | - | - |
DTI 光 | 3,600円 | - | - |
エキサイトMEC光 | 3,500円 | - | - |
戸建てタイプ
光コラボ | 月額料金 | 契約期間 | 解約金 |
---|---|---|---|
ドコモ光 | 5,200円 5,400円 | 2年 | 13,000円 |
【SoftBank 光】 | 5,200円+α | 2年 | 9,500円 |
OCN光 | 5,100円 | 2年 | 11,000円 |
楽天ひかり | 4,800円 | 3年 | 9,500円 |
ぷらら光 | 4,800円 | - | - |
DTI 光 | 4,800円 | - | - |
エキサイトMEC光 | 4,500円 | - | - |
ドコモ光の月額料金は2種類。選択するプロバイダによって月額料金が変わります。プロバイダをOCNや@niftyにすると料金は200円上がります。
「ドコモ光対応プロバイダのIPv6対応状況 (PDF)」をネットで公開中。
IPv6対応サービスの注意点
IPv6サービス利用の申し込み要否や接続対応機器は、各光コラボの公式サイトから確認できます。
光コラボのIPv6サービスは無料で利用でき、ルーターも無料でレンタルできます。一部の光コラボでは、専用のルーターを有料レンタルする必要があります。
ソフトバンク光
ソフトバンク光のIPv6サービスには「光BBユニット」のレンタルが必須です。市販のIPv6対応ルーターだけではIPv6接続ができません。
光BBユニットのレンタル料は467円/月。
光BBユニットはオプションのひかり電話(467円/月~)とWiFiマルチパック(990円/月)にも必要です。まとめて契約すれば、オプションパック(セット割)として500円/月になります。
ソフトバンクのスマホ代が安くなる「おうち割光セット」は、上記のオプションパックが必須です。
つまり、ひかり電話が必要でない方がIPv6サービスを利用するには、光BBユニットレンタル料として月額467円が必要になります。無料では利用できません。
エキサイト光
エキサイト光は月額料金が最安クラスの光コラボ。ですが、IPv6接続サービスは提供していません。
IPv6接続は通信の速さを約束するサービスではないので、料金の安さは魅力。
それでも、IPv6接続を望む場合は、月額+140円の「エキサイトMEC光」。エキサイト光と同様、契約期間&解約手数料なしで契約できます。
まとめ
現在はIPv4のみに対応するサイトやサービスがほとんどです。IPv6に対応できなくてもすぐに困ることはありませんが、国はIPv6の導入を普及促進しています。
次世代型のIPoE方式IPv6は、従来のPPPoE方式IPv4で生じる速度遅延を解消することもできます。
今後、IPv6が主流になるのは間違いありません。引っ越しやインタネット契約の更新を機会に、光コラボへの転用・事業者変更と同時にIPv6サービスを導入するのがおすすめです。
原則、IPv6サービスは無料で利用できますが、専用ルーターが必要な光コラボではレンタル代等が必要になります。
光コラボ選びは月額料金の他に、キャリアスマホの「スマホ割」、ひかり電話、セキュリティサービスを含めて検討すればおトクになる場合があります。